レストランで食事をして、残念だなって思うこと。
食事を提供している側である店の人たちが、自分たちが扱っている素材のことを知らない、あるいは出している料理のことを知らないこと。
もちろん客からの質問によっては、答えがインプットされていないこともあるかもしれない。
だとしたらその場で知っている人にきく、調べるなど対応のしかたもあるもの、と思う。
その対応のしかたを見て、食への意識の程度も、実は伺い知れてしまう。
農家の娘や息子たちを従業員として積極的に雇い、それぞれの素材の産地や生産者の名前を公開して農家との結びつきを売りにしているレストランで食事したときのこと。
「これは**豚のソテーです」との説明に、「**豚って何が特徴なんですか?」と尋ねると答えに窮している。「きいてきます」と厨房にいったのはよいのだけれど、持ち帰った答えは「餌が特別なんだそうです」以上おわり。「どう特別なんですか?」と尋ねようと思ったけれど、なんだかがっかりしてやめてしまった。
これもまた「素材の作り手が全部わかっています」ということを売りにしているレストランでのこと。
シェフは確かにそうなのかもしれないけれど、給仕する人たちにまではそれが徹底していないということなのかもしれない。
「今日は特別に素材がいいとか、何かお勧めはありますか?」と問うと「いつもよく出るのは**と**です」。いつもがどうかを尋ねているわけではないし、みんなが注文するものを教えてほしいわけではない。
「今日は絶対魚食べてみてください!」と言われたり、「私はこの料理大好きなんです。是非試していただきたいです。***して作られている素材なので、こうして食べると味の違いがわかります!」などと勧められたりすると、なんだか嬉しい。たとえその人と自分の好みがあわなかったとしても、またこの店にこよう、彼/彼女についてもらおうと感じるのは私だけではないと思う。
自分は何をお客に提供しているんだろう?それを知りたいと思わないのは不思議。
自分が提供している料理にはどんな特徴があるのか、どんなふうにおいしいのか。使っている素材はどんなふうに作られているのか、どんな人が作っているのか。
食べものは記号じゃない。
銘柄の名前だけを知って満足するのではなく、好奇心をもって勉強して自分の言葉で語ってくれたら、その店で食事をする楽しみがグンと増えるのに。まだまだ「残念だな」と思うお店が多いのが現実ではあるけれど。
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