お気に入りの急須の柄が、まだ買って二ヶ月程度というのに、ちょっとしたことからポキッと割れてしまいました。
姿の美しさといい、 湯切れのよさといい、今まで使った中でもピカイチのお気に入りだったので、捨てる気にもなれず、柄がないまま手でもって(熱い!)お茶をいれていました。
そんな時、繊細な薄さの蓋までもが、パキっと割れてしまいました。
漆をつかえば、かけた器もなおせる!
もうさすがに無理かも、と思っていた時に、たまたま急須を作った二階堂明弘さん、漆作家の中野知昭さんと、お酒の席をご一緒することに。
二階堂さんには本当に悪いと思いながら、「実はかけちゃったんです」と話したところ、中野さんが「僕が継ぐよ」とさらっとおっしゃるのです。「あとで写真おくってください。できるかどうか見極めるので」
ええ??ほんとに、、、?
私がもっていた「金継」のイメージを覆されました!
「二階堂さんの作品を邪魔しちゃいけないから、黒に近い金で仕上げておきました」と中野さん。
包みをあけたとき、思わず「おおっ」と声をあげてしまいました。
こんなに美しく蘇らせてくれるとは(ごめんなさい)正直期待していませんでした。
二階堂さんが「漆は最強ですよ」とおっしゃっていた意味がちょっとだけわかった気がします。
陶芸家の橋本忍さんのように「僕の器が破損したら、なおします」と始めからおっしゃる作家さんもいます。
今、ほとんどの人が、器が割れたら捨ててしまうのではないでしょうか。なおすことができるなんて思いもしない人もきっと少なくないと思います。
柄がかけ、蓋がかけても、急須がこれだけ美しく蘇ることを考えると、ほんとに好きと思えるものを買って割れたらなおしてもらう方が、モノとのつきあい方はずっと深くなるように思うのです。
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