「『地球のからくり』に挑む」読了

こんなにわかりやすく面白い授業を受けていたら、文系の私も物理や化学にもっと興味がもてたかもしれない。


地球に生きる動物のエネルギーの根源を遡れば、すべてが、光合成によって太陽エネルギーを化学エネルギーに変える陸上の植物や植物プランクトンといった「植物」に到達する。であれば、太陽エネルギーの総量が決まっている限り、 地球上に暮らすことができる生き物の数の上限は自ずと決まる。そんなことを考えたこともなかった私は、ここを読んだところでまずはグッと入り込んでしまう。

大気中に最も多く含まれる成分である窒素ガスを肥料に転換する「ハーバー・ボッシュ法」に始まり、石炭、石油、そして原子力と、効率よくエネルギーを生み出すために人類が努力してきた歴史が記される。

 

石油の正体って?

紅海の「紅」の正体シアノバクテリアという単体動物が白亜紀に大発生し、数十万年に及ぶ赤潮を起こす。シアノバクテリアは、ハーバー・ボッシュ法とまったく同じ「窒素固定」(=大気や海水中の窒素ガスをアンモニアやアミノ酸に変えること)によって生きており、そのため海は酸欠状態になって大量のヘドロが溜まる。これが1億年の間に地熱によって熟成されたものが石油の正体。これまた、そんなことを考えたこともない私にとっては、ほとんど歴史科学ロマン!


エネルギーを軸にするとさまざまな分野を語ることができるはずにも関わらず、各エネルギーごとに単位が違うなどするために議論に横の広がりがでないそうした問題意識から、人間のくらしとエネルギーとの関わりについて考え直そうとする本。エネルギーの変換法を表にまとめてあるのも、目から鱗というくらいわかりやすい。

かなり強力におすすめ。