酢飯屋さんには、なぜか機会に恵まれず、ギャラリーには足を運んだことが何度かあるのに食事をするのははじめて。というわけで、ほんとうに楽しみにしていた。
トリ貝と酒のマリアージュ
面白かったのは、トリ貝。
まずはシャリを口に含み、トリ貝を思い切り皿にたたきつけたらほんの少しだけ醤油をつけて口に入れてほしい、と岡田さん。
皿にうちつけたトリ貝は「悶える」。
で、固くなるのかと思いきや、なんとも官能的に柔らかいのだ。
砂を感じさせるような海の香り、貝ならではの生臭さと紙一重のその香りを感じたところにゴッシーさんがあわせたちょっとクセがある酒を口に含むと、混じり合うのではなく、それぞれの個性を保ちつつ、別々に味わったとしたらわからなかったよさをひきたてあう感じがなんともいえない(それを表現する言葉がみつからない)。
寿司単独として印象に残ったのは、カジキの醤(ヒシオ)漬け。
旨味の余韻が長い。
個性のある酒×個性のある寿司
寿司というしばりの中で、オリジナリティを存分に発揮し、産地を訪れ、生産者を知り、その素材を大切にしながら常に挑戦を続ける岡田氏。
岡田氏の握る寿司を一口味わって、それに対する酒を、その温度を、燗の仕方を決める五嶋氏。
この二人のコラボレーション企画「一魚一酒」は今回が16回目。毎月開催しているという。
千葉出身ながら、千葉の酒をほとんど知らなかった。
そのまま飲んだとしたら、自分の好みの酒ばかりかというとそうでもない(むしろそうでなければいけない。さまざまな個性、好みがあることこそ大切)。
でもそれが、燗によって、あるいは個性のある料理とあわせられることによって、「こんなにおいしかったの?」とその見せる姿が変わっていく様を体感することができた意味は大きい。
こんな寿司や酒の楽しみを、多くの人に知ってほしいと思う。
日本人の多くがまだ知らない、和食と酒の奥深さ。
楽しい一夜でした。
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