久々に興奮して読んだ本。
イギリス人ジャーナリスト、フレッド・ピアスによる「外来種は本当に悪者か?」。
膨大な取材に基づき、従来の自然保護の考え方への疑問と新たな軸を提起する。
賛否両論、特に否定派は徹底的にこの本を叩き、こき下ろしているのもおもしろい。
私は、彼の考え方をとても興味深く感じた。
アフリカの大地ですらも「手つかずの自然」ではない
前提として「手付かずの自然はもう世界にはほとんど残っていない」とする。
アフリカの、人類が入り込む前の状態で残されてきたといわれる野生動物が住む大地も実は、ヨーロッパが持ち込んだ牛疫による牛への壊滅的な打撃とそれによって引き起こされたツェツェバエの爆発的な増加によって半世紀ほど前に生まれたものに過ぎないとする記述は衝撃的ですらある。
従来の自然保護の考え方は正しいのか?実効性があるのか?
著者は、自然は強いから、人間が好き放題やってもよいと主張するわけではもちろんない。
ただ、従来の自然保護では、危機に瀕する品種を守ること、地球を「かつての姿に戻すこと」(かつての姿とはいつのこと?テーマパークにしかなりえないのでは?とする)の二つばかりが強調されていることを問題視し、そうしたことにばかり金と労力を使うことに疑問を呈する。
絶滅が危惧される弱い生き物を保護するだけでは進化にブレーキをかけ、適応に冷水を浴びせることにもなる。在来種だから外来種だからと区別し、自然の変化を抑え込もうとするのではなく、新しい自然の動きをサポートするという視点を持とうと訴える。
「理想化された原始の自然ではないからといって、その可能性を無視するのは愚行だ。21世紀の環境保護では、どんな方法が実効性があるのか、先入観を捨てて評価する態度が求められる」
この態度は自然保護ばかりではなく、広くすべてのことに対して言えるのではないだろうか。今まで当たり前とされてきたことを疑ってみる姿勢を持つ。そうしてこそ個人の進歩も社会の進歩もあるのではないかと感じるのである。
この本を読んでいて気になったことが一つ。
「ダーウィンの進化論を受け入れる以上」とダーウィンの理論を絶対視する姿勢が垣間見えること。そもそもダーウィンの進化論は正しいのか?もちろん門外漢の私にわかるはずもないが、、、。
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