2013年にFAO(国連食糧農業機関)が出した昆虫食の可能性を提示した報告書が出たことで、栄養豊富で育てやすく、環境負荷が肉に比べて大幅に削減できる昆虫食の世界に注目が集まってきています。
FAOのレポートで概要は把握したものの、日本人が書いたものを読んでみようと手にしたのがこの本「昆虫を食べる!」
カイコは紀元前15世紀から中国で家畜として育てられてきた!
おもしろかったこと①
カイコは4500年前に絹を採るために家畜化され、人がいなければ生きていけない昆虫なのだそうです。絹を採った後に残る蛹は「産業廃棄物」!
これを食用にすることは養蚕が盛んな地域では普通に行われてきたと言います。
先日、あるイベントでカイコの蛹を揚げたものを食べる機会を得ました。
揚げたてではなかったこともあり、とくに美味と感じはしませんでしたが、まずいわけでもなく、普通にビールのつまみにいける感じでした。
昆虫採集&昆虫食は「マイナーサブシステンス」
おもしろかったこと②
環境民俗学の用語に「マイナーサブシステンス」という言葉あるのだそうです。副次的生業と訳されることが多いといいます。
「遊び」と、収入を得るための「生業」の中間的な活動を指し、昆虫採集と、採った昆虫を食べることはまさにこれに当たると著者は指摘しています。
それは「効率と生産性を重視した大量生産品とは一線を画した、人間が生きる上で根源的な営みも含んでいるのだ。」と。
おじいちゃん、おばあちゃんが採集してきて、調理し、ともに食しながら、採集の際の自慢や失敗談とともに楽しんでいる姿が見られる、と。
ゲノム編集の技術で昆虫の家畜化が容易に?
おもしろかったこと③
農研機構の研究者によれば、ゲノム編集技術が進んだことによって、昆虫の家畜化が容易になることが予想されるのだそうです。
家畜化というのは、具体的には、 動作緩慢化、攻撃性低下、飛翔力低下、無害化、無毒化など。
これによって大規模養殖が可能になるだろう、と。
まずは姿形が見えない形での利用でしょうか
よく見ればエビもシャコもグロテスクなわけではありますが、昆虫の見た目で「絶対無理!」という人も少なからずいることは確かです。
まずは、例えば家畜の餌としての利用、そして姿形が見えない方法での利用(粉末化)の促進からが現実的なようにも思います。
とはいえ、生の魚を食べる習慣がなかった国々でも今やSUSHIがもてはやされるように、時間が偏見を取り去ってくれるのかもしれません。
ともあれ、人口増加と砂漠化や土地の劣化によって、未来の食が足りるのか?と懸念される今にあっては、食品ロスの削減と、今まで食することがなかったものの食用化の可能性を探ることは時代の要請です。
機会があれば、ぜひ昆虫食を多くの人に試してみていただければと思います。
先入観なしに食べてみると、なかなか美味しいですよ。
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