神戸市の食品ロス調査を元にクエスチョン・ストーミングをしてみた

神戸市が、2016年冬と2017年夏にモニターを募集して行った食品ロス実態調査。その概要が、神戸新聞のウェブサイトに掲載されていました。


ちょうど「Q思考」という質問する力について書かれた本をテーマに、共に読み、ワークを行う読書会を開催していたことから、これを題材に、Qストーミング(クエスチョン・ストーミング)を試してみました。

食品ロス削減について提案型の質問も多々
食品ロス削減について提案型の質問もあげられました

7人でクエスチョン・ストーミング5分でこんなに!

読書会の一部としてのワークだったので、質問を考え書き出してもらう時間はたった5分。男性2名女性5名の計7名。

年齢は30代後半から50代中ばくらいまで。

食関連の仕事をしている人は2名。職業はさまざま。

とにかく質問の形で付箋に書いてもらい、終わってからそれを分類してみました。

まずはそもそも論。食品ロスの定義って?
まずはそもそも論。食品ロスの定義って?

実際のところ、どういうものが食品ロスに当たるのかがよくわからないという人もいました。そしてこの大変な調査になぜ神戸市は乗り出したのかを知りたという声も(神戸市すごい!の声も)。

比較対照となる数字や関連する数字がわかると理解が進みそう

食品ロスに関する数字をまず知りたい
食品ロスに関する数字をまず知りたい

神戸市の食品ロスは、全国的に見て多い方なのか、世界的にみたらどうなのか。

捨てている私たちと同じ世界に飢えている人たちもいるわけで、いったいどれほどの人が飢えているのか。

 

食品ロス削減について話し合う前提として、食品ロスにまつわるいろいろな数字を知ることで、より理解も深まり、削減への意志も高まるのではないかと感じました。

食品ロスを出しやすい世帯や行動パターン、環境はあるのか?

家族構成や職業の有無、家庭環境によって食品ロスの量は変わるのでしょうか?
家族構成や職業の有無、家庭環境によって食品ロスの量は変わるのでしょうか?

家族構成、世帯収入、料理への関心度の差。
外食や中食が多いのか家で作ることが多いのか、スーパーで買うのか、農家から取り寄せているのか、などの食行動、食意識の差。

食品保存の舞台となる冷蔵庫の大きさ。


そんな要因によって、食品ロスの量に差が生じるのか?という疑問も多く上がりました。

また神戸新聞の記事にあった「高齢者ほど食べ残しが多い」のはなぜか?子供がいる家庭の方が廃棄率が高いのはどうしてだろうか?といった疑問の声もありました。

また、神戸市はモニター募集の時に何か条件をつけたのだろうか?という問いもありましたが、神戸市ホームページの募集ページをみると、家族構成や、住んでいる地域、職業の有無などを特に指定することなく、モニターを募集したように読めます。

捨てよう!と思うその判断基準はどこに?

どうして野菜の廃棄が他のものより多いのか、何を基準に「これは捨てよう」と判断しているのかへの質問も多く上がりました。

 

「食べ残し方は?」という質問からは、さらに、例えば盛り付け方によって食べ残しが増える可能性についても考えるべきでは?と感じることになりました。


例えば、一人一人に料理を盛り付けているのか、大皿に盛り付けて自分が食べたい分だけとり分けるのかによっても、捨てる判断に差が出てくるようにも思えます。

クエスチョン・ストーミングはなかなかいいぞ!

答えを出そうと思うと、なかなか発言しにくいかもしれませんが、こうして質問形式で、ある意味「無責任に」発言していいということになれば、たった5分でもこれだけの質問が上がりました。

 

誰でも捨てたくて買っているわけではないはずで、食品ロスは出さないに越したことはないとは思っているはず。それでも捨ててしまっているのはなぜなのか。

神戸市の報告書によれば、「ウチは食品ロスは出していない」と思っていた家庭でも記録してみると思いの外捨てていることが判明したという話も記載されています。

 

また、記録を進めるうちに、モニター家庭での食品ロスが減っていったとも。

 

とすると、まずは自分の行動を記録して、どれだけの食品ロスを出しているのかを自己認識することがスタートになりそうです。(日記形式で途中離脱してしまった人も相当数いたようなので、例えばアプリにすればもっと広まる可能性も?ただしデジタルデバイドの問題はありそうですが共存させれば良いですね、手書きと)

同時に、社会的には食品ロスについての数字を共有できる状況を作ること、そして食品ロスが出やすい環境や行動パターンを分析し、そこから対策を考えることが必要になりそうです。

家庭からの食品ロスへの対策は、「多分こういうことなんだろうな」という推測の元に、「こうすれば食品ロスが少なくなります」という「啓蒙」が行われてきたような印象があります。それが実際にはなかなか功を奏してはきませんでした。そういう意味で、神戸市がモニターを冬、夏各300人以上も集めて実態調査を行ったことは画期的であり、今後の対策を考える際の重要なデータとなりそうです。

そして、今回のクエスチョン・ストーミングをしてみて(繰り返しますがたった5分!)、これをもっとじっくり時間をかけてやっていき、そこからさらに質問を繰り返していくことで、何をもっと深めていけばいいのか、どんなことが可能になったら食品ロスを減らせるかもしれないのか、などが、クリアになっていくような予感がします。

そんな場を作っていきたいです。